特注タイル 施工事例紹介 Case 4 成田国際空港第1ターミナル北ウィング1階トイレ 2021. 03. 18

Profile: 岡本 孝子・浜鍜 久仁子

岡本 孝子(写真左)
美大でインテリアを学んだ後、建築系専門学校を経て二級建築士を取得。株式会社空間デザインに入社。結婚、出産後は時短や在宅勤務など柔軟な働き方で、仕事と家事・育児を両立しながら建築士としての経験を積む。現在は正社員として勤務し、勤続20年目を迎える。主な実績は、大阪メトロ四つ橋線北加賀谷駅対抗壁設計デザイン、枚方公立幼稚園小規模保育施設開設設計、千代田区 公園・公衆トイレリフレッシュ設計等業務など。

浜鍜 久仁子(写真右)
住宅設備機器メーカーで水まわり空間の企画・提案に従事した後、株式会社空間デザインに入社。2015~2017年の在籍中に、池田市塩塚公園トイレなど公共物件の設計を担当。成田国際空港第1ターミナルビルトイレリニューアルプロジェクトでは、主にプロポーザルから基本設計までを担った。現在は事務所を移り、民間物件を主とした設計デザインに携わっている。

Profile: 岡本 孝子・浜鍜 久仁子

東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、成田国際空港ターミナル内の全てのお客様用トイレがリニューアルされました。

その中の最後の工事となる第1ターミナル北ウィング1階のトイレが2020年3月25日に完成し、
こちらの壁に弊社の商品「HISHI(ヒシ)」を特別注文にてご採用いただきました。

今回は、こちらのトイレの空間コンセプトと、
その設計コンセプトに合わせて今回の商品採用に至った経緯、出来上がってからの感想などについて、
設計に携わられた株式会社空間デザインの岡本さんと、浜鍜さんにお話をお聞きしてきました!

日本の美的感覚で"おもてなし"を表現したい

成田国際空港と言えば、日本への玄関口。
世界中から来日した人が最初に目にする場所です。
そんな成田空港にあるトイレも、日本を感じてもらう重要な場所の一つ。
近年、日本のトイレは世界一すばらしいと評判も高く、期待を寄せて来られる人も多いでしょう。

今回の成田国際空港トイレリニューアルプロジェクトでは、これからの国際空港にふさわしい提案を求めて、プロポーザル方式で設計者が選定されました。

146か所あるお客様トイレのうち、第1ターミナルビルの中で特に利用者の多い5か所については、
「デザイントイレ」という位置づけで、高い意匠性も求められたそうです。

そこで、株式会社空間デザインでは、ゾーンごとに
「雪(出発コンコース)」、「月(出発ロビー)」、「花(到着ロビー)」というデザインテーマを設定しました。
古くは万葉集でも詠われている「雪月花」をモチーフに、
日本人が大切にしてきた美的感覚を再現することで「日本のおもてなし」を表すことが試みられました。

その中でも、「花」のトイレは、
壁面全体で桜吹雪が舞っている様子を鮮やかなタイルで再現されたことに加え、成田国際空港の計らいで一輪挿しや盆栽によるグリーンの装飾、天然オイルを利用した香りの演出が行われています。

また、「花」のトイレは到着ロビーのすぐ近くにあるため、
「ようこそ日本へ」というおもてなしの気持ちを感じていただけることも大切に設計されたそうです。

外観

特注オーダーにした理由

「花」のモチーフに当てはまったタイル「HISHI」

「雪月花」の「花」の表現に弊社のタイル「HISHI(ヒシ)」がぴったりだった、と設計者のお二人は言います。

到着ロビーは、多くの訪日外国人を最初にお迎えする場です。
そこには日本で過ごす時間への期待や高揚感を盛り上げる華やかな内装演出が不可欠だと考え、「花」をモチーフに決めたとのことでした。

和の雰囲気を持つ菱形で、組合わせ次第で自由な表現ができる「HISHI(ヒシ)」は、とても魅力的だったそうです。

花吹雪が壁一面に舞っているかのようなデザインはインパクトも絶大で、プロポーザルでのお施主様からの高い評価につながり
株式会社空間デザインが設計者に採用されることができました、と嬉しいお言葉をいただきました。

特注オーダーにした理由

全11色展開の「HISHI(ヒシ)」ですが、
公共性の高いトイレには、一目で男女の区別ができることが求められることもあり、
男性トイレには「コダイアオ」、女性トイレには特注色の「赤」を使っています。

焼き物であるタイルで特注色を作るには、釉薬の調合や焼き加減など繊細な作業を必要とします。
「赤」はオレンジに近い朱色から青みのある紅色など色々ありますが、
提示されたイメージに近づけるよう、何度も試作を繰り返して今回のタイルの色が完成しました。

女性トイレ

男性トイレ

また、多機能トイレには「オリベ」、新しい試みであるオールジェンダートイレには「アメ」「テツ」などの色を使い、
性別を感じさせない仕上がりにしています。

オールジェンダートイレ

貼り方で工夫した点

絵柄シート全1,072シートが全て異なるパターンだったため、 現場の方が施工しやすいように 図面と梱包を工夫して、壁面別に全てナンバリングして納品しました。

また、納まりの部分は、異寸三角形や台形に工場でカットした3456粒を使用することで、細部にまでこだわった仕上げになっています。

女性トイレ パウダーコーナー

仕上がりを見て

コンセプト通りの華やかさと日本らしさを表現できて、お施主様にもご満足いただけたそうです。

株式会社空間デザインでは公共案件が多く、意匠面よりも機能面が重視されることが多かったので、
今回のプロジェクトのように華やかなタイルを存分に使うことができて、とても楽しい仕事になりました、とおっしゃっていただきました。

ちなみに、「雪」をテーマとした出発コンコースのトイレには、
和モダンな空間によくご使用いただいている弊社のモザイクタイル「GION(ギオン)」が採用されています。

女性トイレ内のアイランド型洗面器

タイルの魅力と可能性

タイルは「清潔感」と「温かさ」を感じることができ、堅牢性、デザイン性などを備えたとても優れた素材で、機能性と意匠性が求められる今回のようなケースには最適な素材だとおっしゃっていただきました。

今回の「HISHI(ヒシ)」という商品では特にそうですが、デザインの自由度が大きいことや、
一枚一枚が異なる焼き物ならではの表情には、他の素材では出せない魅力があると感じているそうです。

今後も機会があれば、ダイナワンのデザインタイルを使って素敵な空間を創っていきたいです、とありがたいお言葉をいただきました。

今回ご紹介した現場は、皆さんも海外出張や旅行から帰国する際に使用することもあると思うので、
機会がありましたら是非注目してみていただけると嬉しいです。
最後に、今回お忙しい中インタビューにお答えくださった 浜鍜さん、岡本さん
どうもありがとうございました!

成田国際空港について

成田国際空港は、千葉県成田市にある日本最大の国際拠点空港です。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、また今後さらに多くのお客様をお迎えしていくため
ターミナル内全てのトイレにリニューアルを実施し、
今回ご紹介した北ウイング1階到着ロビーのリニューアルをもって全146ヶ所のお客様用トイレのリニューアル工事が完了しました。

<北ウイング1階到着ロビートイレの特徴>  (成田国際空港株式会社HPより引用)
●多機能トイレの混雑解消のため、オストメイト用流し・オムツ交換台・フィッティングボードを一般トイレにも設け、多機能トイレの機能分散を図った。
●全てのブースにスーツケース等の大きな荷物を持ち込むことが出来る。
●大型手荷物カートが入ることが出来るブースを2か所設置。
●女性トイレに着席可能なパウダースペースを設置。
●トイレの横にベビールームを設置。

ダイナワンでは、 独自のネットワークによる協力工場や窯元と共に、ご希望の色や質感、形状に合わせた特注タイルをご提案いたします。

特注タイルのオーダー方法はこちらよりご覧ください。

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