伝統和模様が創り出すミッドセンチュリー -HISHI ヒシ- 2020. 04. 01

釉溜まりによる色彩の濃淡が美しく、カラーバリエーションが豊富な商品HISHI(ヒシ)。
今回は、その誕生秘話と魅力についてご紹介します。

デザインモチーフは伝統和模様「菱」

2つの平行線が交差するひし形は、古くは縄文時代まで遡り、以来描かれ続ける伝統模様です。
このひし形が連続することで生まれる格子柄、幾何学模様は、季節に関係なく和柄デザインに多く用いられています。
「菱」模様には様々なバリエーションが存在しますが、私たちのHISHIでは最もシンプルな60°と120°の角度で構成される菱形を採用し、タイル表面をほんの少し弧を描くことで自然な釉溜まりができ温かみのある色彩の濃淡を表現しています。

釉溜まりの濃淡が温かみある色彩を創り出す。

生産者について

HISHIは、タイルや焼き物の加工・販売を行っている㈱ダイナワンと、岐阜県土岐市にある協力工場である立風製陶㈱との共同開発で生まれました。

立風製陶㈱はモザイクタイルを中心に数多くのタイルを生産する窯元ですが、アメリカへの日本製陶器の輸出が最盛期を迎えていたミッドセンチュリー後期(1960~70年代)には、輸出向けマグカップ生産の国内トップシェアを担っていました。

商品開発当時、立風製陶㈱の創業100周年に当たり、偶然このような歴史的背景に触れ、実際にマグカップを拝見したことでインスピレーションを受け、商品コンセプトのフレームワークが決定していきました。

また当時はミッドセンチュリーデザインが改めて注目され始めた時期でもあり、その世界観に多大な影響を与えた日本デザインや美意識も同時に注目され始めていたこともあり、「伝統」「復刻」「リデザイン」というような観点で具体的なフォルムや色が決定していきました。

50年前の色彩を表現したミッドセンチュリーカラー

ミッドセンチュリーカラーは、1970年代に生産され、特に人気の高かったマグカップの色を再現しました。

再現した色は、アメ色、オリベ、テツ色、コダイアオの4色。
どの色も日本の美意識である「侘び寂び」に通じる、ミッドセンチュリーデザインに欠かせない色合いで、釉斑や透明感がレトロ感を引き立てます。
ミッドセンチュリーカラーは、弊社の別シリーズ【45×2(フォーティーファイブツー)】でも展開しています。

希少な立風製マグカップとHISHI

HISHIの焼成法 美濃焼

美濃焼とは、美濃国(現在の岐阜県)の東部地域で生産されてきた陶磁器の総称です。
多治見を始め、土岐、可児、瑞浪、笠原が含まれます。
その起源は、奈良時代の須恵器窯からとされるのが一般的です。
その時代に、人々の好みに合わせて新しく釉薬を開発し、
技術を築いて様々な姿形、色彩の焼物を誕生させてきたため、
美濃焼とは「このような焼物」というのはなく、様々な技法を持っています。
どんぶりを始めとする和食器などが有名ですが、今回ご紹介しているタイルなど、あらゆるものに使われています。
そしてゆがみも良しとする大胆な造形、鉄絵(鉄を含む顔料で描かれた絵)による意匠や鮮やかな緑色「織部」は、美濃焼を象徴とする色として知られており、
安土桃山時代を生きた武人にして茶人であった古田織部が自身の好みに合わせて造らせたと言われています。
HISHIにも織部色があります。

様々な貼り方パターン

カラーバリエーションは、ブライト、マット合わせて全11色。
4色あるマット面は面状をフラットに仕上げフロア(床)でも使用可能です。

HISHIのカラーバリエーション

またHISHIのもう一つの特徴は、3種類のシートパターン(貼り方のパターン)が組めること。11色のカラーバリエーションと3種類のシートパターンの組み合わせでデザインパターンは無限に広がります。

パターン1

パターン2
パターン3

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