5分でわかる!床タイルの貼り方 ~大型タイル~ 2024. 01. 18

内装床に600角のタイルを採用したいけど、
「タイル下地って何だっけ?」
「下地からタイル表面まで、どのくらいの寸法でみたらいいのだろう?」などと思ったことはありませんか?

今回の記事では、床面に大型タイルを採用する前に必ず頭に入れておくべき「床タイルの施工法」についてわかりやすく解説します。
5分ほどで読み終わる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

【目次】

1.タイルを何で貼り付けるかは、タイル下地で決まる!(床タイルの施工法)

タイル下地は、モルタル下地と合板下地が一般的です。
モルタル下地は施設の通路やマンションのエントランスなどの共用部分に比較的多くて、合板下地は店舗や住宅の内装に多いという印象です。

①モルタル下地の場合

モルタル下地と張り付けモルタルのイメージ

モルタル下地には張り付けモルタルでタイルを貼ることが一般的です。
張り付けモルタルを、モルタル下地のみに塗り付ける「圧着張り」と、モルタル下地とタイル裏面の両方に塗り付ける「改良圧着張り」という2つの施工法があります。オープンタイムを確保しづらい夏場の施工や大面積での場合、また裏面に空隙のできやすい900角等の超大型の床タイル施工には、「改良圧着張り」がおススメです。

【施工法の概要】

圧着張り

圧着張り
圧着張りイメージ

モルタル下地をこしらえた後、くし目高さが10mm以上のくし目ゴテを用いて下地に張り付けモルタルを塗り付けて直ちにタイルを張り付ける方法です。張り付けモルタルが軟らかいうちにたたき押え、モルタルがタイル裏面に広がるようにします。ゴムトンやヴィブラートを用いてタイルを張り付けます。

改良圧着張り

改良圧着張り
改良圧着張りイメージ

モルタル下地をこしらえた後、くし目高さが10mm以上のくし目ゴテを用いて、下地にモルタルを塗り付け、これが固まらないうちにタイル裏面全体にもモルタルを均一に塗りつけ、ヴィブラートやゴムトンを併用して張り付ける施工法です。オープンタイムの問題も解決できる信頼性の高い工法です。

【注意点】

タイルをモルタルで張り付ける湿式工法の場合、タイルの大きさによらず、下地にひび割れが発生すると、それに追随してタイル面にもひび割れが発生します。
これを防止するために、伸縮目地を必ず適宜場所に設置してください。設置間隔は、縦横とも4mピッチ以内を目安とします。

【下地の選定】

主となる構造下地留意点
コンクリートモルタル下地・下地精度は±2mm/2m以内としてください。
・伸縮目地は4m以内に配置してください。また、他部材との取り合い部にも必ず設けてください。

②合板下地の場合

合板下地と有機接着剤のイメージ

合板下地には「有機接着剤」でタイルを貼ります。
有機接着剤は合板下地のみに塗る場合が一般的ですが、最近ではタイルの大型化によって、タイル裏面にも有機接着剤を塗る施工方法が出てきました。
タイルの裏面にも接着剤を塗り付けると、タイルと下地に隙間ができづらく、タイルの割れ防止になります。

【施工法の概要】

全面接着剤張り

全面接着剤張り
全面接着剤張りイメージ

合板下地に有機系接着剤をくし目に塗布し、大型タイルを圧締しながら
張り付けていく方法です。住宅の屋内や店舗内装に適しています。

【下地の選定】

下地の種類留意点
コンクリート下地・直張りする場合は不陸調整モルタルで面精度を±2mm/2mに整えてください。
・コンクリートに根太を組む場合は、下記仕様に沿って行ってください。
合板・モルタル目地の場合、床板は1類合板、総厚18mm以上(9mm合板の2枚重ね)とします。
・目地材に弾性目地や樹脂目地を使用する場合、
 床板は1類合板、根太ピッチが303mm以下の場合は12mm合板1枚張り、根太ピッチが455mm以下の場合は15mm合板1枚張りとしてください。

2.タイル厚と張り代で仕上り寸法が決まる

タイルの仕上り寸法は、「タイル下地」+「張り付け材」+「セラミックタイル」の厚みの合計で決まります。
一般的なセラミックタイルは10㎜~8㎜程度の厚みがあり、製品によってその厚みが違うという特徴があります。
また、その厚みに加えてセラミックタイルを張り付けるための厚み、「張り代(はりしろ)」も必要になってきます。
そのため、下地のコンクリートはそれを踏まえたレベルに設定しておく必要があります。

張り代のイメージ
張り代のイメージ
(下地材:モルタル C/S=1/3 またはバサバサモルタル C/S=1/3~5)
(張り付け材:セメントモルタル C/S=1/1~2)

張り付けモルタルと有機接着剤の場合の仕上り寸法について、それぞれ下記にまとめましたので、設計業務の参考にしてみてください。

張り付けモルタルの場合

タイルサイズ施工方法張り付け材仕上り寸法
(下地を除く)
推奨塗布工具
600×1200mm角
以下
圧着張り張り付けモルタルタイル厚+2mm~4mm 10mmくし目コテ
改良圧着張り タイル厚+5mm

有機接着剤の場合

タイルサイズ施工方法張り付け材仕上り寸法
(下地を除く)
推奨塗布工具
300~400mm角全面接着剤張り有機接着剤
・イナメントE-73(LIXIL)
・イナメントフロア(LIXIL)
タイル厚+1mm~2mm 5mmくし目コテ
400~800mm角 タイル厚+3mm~4mm 10mmくし目コテ
600~1200mm角 タイル厚+4mm~5mm 13mmくし目コテ

タイルのサイズが大きくなると、接着剤をタイル裏面に十分に塗布する難易度が上がります。
そのため、タイルサイズによって接着剤を塗る量や工具を使い分けて十分な接着品質を確保する必要があります。

3.大型タイルの最新トレンド

床タイルの施工方法について、いかがでしたでしょうか?
下地やタイルサイズ、厚みの関係から、推奨工法について今回ご紹介いたしました。

ご存知の方も多いかと思いますが、近年では製造技術の進化により、「Laminam・グラディオス」等の薄型の大型陶板(1000×3000㎜)が登場しており、
タイル寸法の概念は大きく変わりつつあります。
2023年のチェルサイエ展では薄型大判に加え、従来の10㎜程度の厚みをもった900×900角・1200角といった大型タイルが続々と登場し各会場を彩りました。
まだ日本では馴染みが少ないですが、海外では当たり前の様に使用されており、これらの大型サイズがこれからの主力形状と捉える趣もあります。

広い空間を持つ、空港・駅等の施設にはぜひ使用していただきたいスケール感ですし、天然石とは異なりインクジェット技術によるセラミックタイルは、
色柄ともに無限のバリエーションを持ち、オフィスビルの顔となるエントランスの仕上材にも、うってつけの材料となってきそうです。

イスタンブール空港の床タイル
イスタンブール空港の床面に使用されている大型タイル

600角タイルと比べ、1枚当たりの面積が倍以上の900角タイルは、裏面への張り付け材の充填を確実なものとして高い施工品質を担保します。
そのため、タイルの裏面にも張り付け材を塗布する「改良圧着張り」での施工がおススメです。
また、意匠を含めた高い施工品質を担保するために、レベル調整用の専用部材を用いて、目違いを防止することも有効です。

張り付け材の施工のようす
下地への張り付け材 塗布状況
張り付け材の施工のようす
空隙を防止する為、タイルの裏面、四隅まで 張り付け材を塗布

トップフィット工法(LIXIL製)‥‥大形タイルの美しい仕上りに効果的

トップフィットを用いた工法(トップフィット工法V)の施工手順

最後に、この春発売予定の注目の大型タイルについてご紹介します!

2024年春 発売予定 「UNIONESTONE」

‘ Beyond the Real ’ 「本物の向こう側」をテーマとした、リアルな石材表現が魅力の磁器タイル。
内床仕様に加えてGRIPタイプを持つ、一押しのアイテムです。
クラシカルな重厚さと現代的な繊細さを併せ持つ、「UNIONESTONE」のデビューをぜひ楽しみにお待ちください。
(900角・600×1200角サイズ、 2色展開)

UNIONESTONE セルペンティーノ
UNIONESTONE セルペンティーノ
 UNIONESTONE サドルグレー
UNIONESTONE サドルグレー

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