タイルのあれこれ -材質について知ろう!- 2024. 06. 20

皆さん、タイルの【材質】は何種類あるのかご存じですか?
「タイル」と一口に言っても、すべてが同じ手法や焼き方で出来ているのではありません。
タイルの材質は、仕上げ材選定、仕様書作成の際に必要な知識となってきます。

ダイナワンのカタログには「材質:BⅠ/施釉」などの表記がありますが、メーカーによっては、このアルファベットと数字の表現に加え、
「磁器質」・「せっ器質」・「陶器質」と言った表現が用いられるケースがあります。
今回は、これが何を意味しているのか?について詳しく見ていきたいと思います。
今更ちょっと尋ね難いけど、知っておくべきタイルの知識を、成形方法と吸水率の観点からご紹介させていただきます。

【目次】

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【DINADESIGN ~TILE&MATERIALS~】
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カタログイメージ

Q1.なぜ、メーカーによって材質表現が異なるの?


説明

タイルの品質規格は「JIS A-5209」により定められています。
2000年頭頃からタイルの国際化が進み、多くの輸入品が国内でも取り扱われるようになりました。
製品の国際取引において各国で品質試験方法や基準が異なることは取引の障害となり、
何よりユーザーにとって選びにくい判りづらいものになってしまいます。
このような障害を取り除くために、JISがISOとの整合を進めるなか、陶磁器質タイルのJISも改正されることになりました。
ただし、海外のタイルはサイズの大きな床、内装タイルが主流であるのに対し、
日本では外装としてもよく使われており、形状も小型である点で大きな差異となっています。
このためJISではこうした国内の事情を考慮しながら、ISOの技術的内容を取り入れて整合化を図ってきました。

従来のJIS規格では、「磁器質/施釉/外装床タイル」の様に、「吸水の区分と、釉の有無、用途区分」が表現されていましたが、
ISOとの整合の中で、「成形方法」を加えた呼び名に変わってきた背景があり、各メーカーで微妙に表現が異なる場合があります。

現在では、タイルの材質は成形方法(AまたはB)吸水率(Ⅰ類~Ⅲ類)の組み合わせにより大きく6つの種類に分類されます。

タイルの材質

吸水率について、従来は自然吸水率を指標にしていましたが、 2008年のJIS改正により強制吸水率(煮沸法または真空法)が指標とされるようになりました。

新分類と旧分類の比較

※厳密には1対1に対応しておりませんが、Ⅰ類、Ⅱ類、Ⅲ類はそれぞれ従来の磁器・せっ器・陶器にほぼ当てはまります。

それでは各成形方法とⅠ~Ⅲ類の分類について詳しく見ていきましょう!

Q2.A、Bの成形方法が違うと何が変わるの?

A:押し出し成形

含水率が20~25%の粘土状の原料を押出成形機で”ところてん”のように押し出して、ピアノ線などで所定の長さにカットします。
主にブリックやレンガが作られます。

押し出し成形イメージ

KoksⅡ(コークスⅡ)
石炭のような重厚な色合、鈍いツヤをイメージした定番タイプのブリック。
KoksⅡ(コークスⅡ)
石炭のような重厚な色合、鈍いツヤを
イメージした定番タイプのブリック。
NOVE(ノーヴェ)
必要な強度と意匠性を維持しながら、従来品の約2/3の厚みで、資源、製造エネルギー、CO2を低減。新世代長尺ブリック。
NOVE(ノーヴェ)
必要な強度と意匠性を維持しながら従来品の約2/3の厚みで、資源、製造エネルギー、CO2を低減。新世代長尺ブリック。

B:プレス成形

水分を限りなく含まないパウダー状の原料を金型に充填し、高圧プレスをかけ成形します。
床や壁に使われる大小様々な種類があります

プレス成形イメージ

MARSTOOD STONE(マーストゥッドストーン
MARSTOOD STONE(マーストゥッドストーン)適度な色幅と使いやすい色合いはあらゆる場面で、思いがけない上品さを演出。
45×2(フォーティーファイブツー)
45×2(フォーティーファイブツー)
ノスタルジックな伝統色を配した
日本独自のタイルサイズ45二丁。

番外編:器の成形方法を応用した鋳込み成形

石膏型に泥状の原料を流し込んで、石膏に水分を吸収させ、固形化して成形。
自由度の高い個性的な形状ができます。

鋳込み成形イメージ

CROSS(クロス)
CROSS(クロス)
重なりがおりなす光と陰影のリズムが特別なアクセントとなるクロス。
RHYTHM(リズム)
RHYTHM(リズム)
アートワークとしてパズルのように壁面を埋め尽くしていく過程をイメージしたタイル。

Q3.Ⅰ類、Ⅱ類、Ⅲ類それぞれの特徴や適した使用部位を教えて!

Ⅰ類【磁器質】

MB3(エムビースリー)
MB3(エムビースリー)
石目模様の多彩なパターンがハイセンスな空間に溶け込む。アフリカ原産のクォーツ石
モンブランをオリジナルモチーフに優しく輝く流れ模様を最先端の技術で見事に再現。

FORMAT(フォーマット)
FORMAT(フォーマット)
3種類の長方形がリズム良く並ぶスクエアコンビネーション。ブライトとマットのMIX張りがより複雑な陰影のバリエーションとドラマティックなライティング効果を生み出す。
DUAL MOOD STONE(デュアルムードストーン)
DUAL MOOD STONE(デュアルムードストーン)
ヴァルスストーンの生き生きとした大らかな流れ模様の優雅さ。
インドアとアウトドア、それぞれに適した2つのテクスチャ。洗練されたデザインと機能が、
さまざまな空間シーンへの調和を可能にしました。

大判輸入タイルに代表される、とても硬質で吸水率が3%以下と、吸水率が極めて少なく、寒冷地でも使用可能なタイル。

そのため、使用出来る環境や用途の範囲が広く、内外の床壁ともに使用できるタイルがほとんどです。また、低い吸水率から雨がかりのある場所や水回りでの採用にもおすすめです。

※外床や水回りでの採用には、材質の他にも滑りや汚れ、素足での使用を考慮した、使用する部位ごとに適した条件を満たす必要があります。
詳しくは、当社営業担当までご相談ください。

Ⅱ類【せっ器質】

ブリックや内装壁用のタイルが多いですが、外部環境にも使えるタイルもあります。
吸水率は10%以下で磁器質に近いものから陶器質に近いものまであり、施工環境や採用可能部位は商品によって異なります。
"土もの"といわれる湿式タイルが代表的。素朴ながら、素材感や雰囲気のある空間におすすめです。

HINONE(ヒノネ)「MELLOWNESS TIME」
HINONE(ヒノネ)「MELLOWNESS TIME
メイドイン常滑のリアルブリック。
土ものと云われる湿式タイルの質感を十分にいかすために5色の土を使い分けたヒノネは、
その色ムラと風合いが壁面に陰影とリズムを生み出し空間を上質に彩ります。
FS Saja(エフエス サハ)
FS SAJA(エフエス サハ)
アンティーク素材で知られるシーリングパネル、TIN TILE(TIN=錫)。
タイルならではの硬質な強みを活かして新たなデザインフィールドを広げるエフエス サハ。
木、コンクリート、金属調等、多くの素材とも相性良く使えるタイル。

POUND(パウンド)
POUND(パウンド)
まだ柔らかい状態の土に残る成形時のベルトコンベア痕を再現したライブ感溢れるクラフトタイル。
素朴さと潔さが残るフラット面に散りばめられたドット面が
全く新しい洗練されたインテリアに生命を吹き込みます。

Ⅲ類【陶器質】

PLINTO(プリント)
PLINTO(プリント)
107×540の少し大き目なサイズ感が新しいロングボーダー。
清潔感溢れるブライト釉で彩られたPLINTOは
どこにでも使いやすいシンプルデザイン。

ETRURIA(エトルリア)
ETRURIA(エトルリア)
たっぷりと施された釉薬の透明感にシャープさが加わり気品ある清涼感を演出するエトルリア。ニュアンスカラーのベース色とビビットなポイントカラーを取り揃えています。

FS LOFT(エフエス ロフト)
FS LOFT(エフエス ロフト)
セメントブロックをモチーフとした陶器質タイル。ラスティックな素材とトレンドカラーが交差したロフトはヴィンテージモダンなデザインに最適です。

人物

吸水率が最も高く、そのほとんどが内装壁専用タイル。
一方で他の材質に比べ焼成温度が低い為、発色が良く、豊かな色彩を持ち合わせています。
また、乾燥及び焼成時の収縮率も低いことから、海外のレリーフタイルの多くがこの手法によるものです。
アクセントをつけたい壁面への施工がおすすめです。

Q4.何が違う? 施釉と無釉

施釉

タイルの素地に釉薬をかけ、色やツヤを出し、模様をつけたり、様々な質感を表現します。
釉薬は焼き上がるとガラス質になり、防汚効果もあります。

SARDINIA BLUE(サルディーニャ ブルー)
SARDINIA BLUE(サルディーニャ ブルー)
やきもの特有の貫入といわれる釉薬のクラック模様が透明感を引き立たせ、地中海に浮かぶサルディーニャ島の青い海のグラデーションを連想させます。心穏やかなリゾート感溢れるタイル。
HISHI(ヒシ)
HISHI(ヒシ)
シャープな印象のエッジタイプと内床にも使用可能な柔らかな印象のフラットタイプをラインナップし、日本の伝統色を配した菱形モザイクタイルHISHI。

無釉

釉薬を使わず素地のまま仕上げたもの。 土本来のぬくもりを感じます。
タイル素地と表面が同素材なので、摩耗しても損ないにくい意匠性が特徴です。

TERRAROSSA(テラロッサ)
TERRAROSSA(テラロッサ)
サンゴ礁の軽やかで独特な質感や経年変化による風化をテーマに、原料から加工まで研究と工夫を重ねて開発されたテラロッサ。
YAGASURI(ヤガスリ)
タイルの原点である土のあたたかみと懐かしさが薫る質感を残した異形状ブリック。
YAGASURI(ヤガスリ)
タイルの原点である土のあたたかみと懐かしさが薫る質感を残した異形状ブリック。
BASAMO G(バサーモG)
国産ならではの安全性とフレキシビリティ
割れ・滑りに強く、汚れが目立ちにくいGシリーズ。
BASAMO G(バサーモG)
国産ならではの安全性とフレキシビリティ
割れ・滑りに強く、汚れが目立ちにくいGシリーズ。

まだまだある!タイルを彩る加飾技術

インクジェット印刷

今、海外メーカーの加飾方法の主流ともいえるデジタル加飾技術。
元データは大理石や木目などの画像を取り込んで作成されて、タイルにダイレクトに再現されるのでとてもリアル!
本物ともなかなか区別がつかない程です。
この技術の発展は目覚しく、タイルのデザイン性やクオリティが飛躍的に伸びています。

DAMA(ダマ)
DAMA(ダマ)
ヴェネチアの水路の目印ブリッコラ。 その中で最も背の高い中央の支柱はDAMA(ダマ=貴婦人)と呼ばれます。汽水に浸され、使い古されたブリッコラの回収にはじまり、ユニークなクリーニングプロセスを経てオーク材の新たな価値をまとった素材へと変貌を遂げたDAMA。
THE ROOM(ルーム)
THE ROOM(ルーム)
イタリア、サウスアメリカ、アジアから独創的でありながら最も洗練された大理石を集めたTHE ROOM。 ベーシックから、オリジナリティあふれる空間まで幅広いテイストを満たすことができるエレガントでユニークなコレクション。

絵付け・転写

既に焼成されたタイルに、
筆やスプレー、 転写紙を加えて再焼成し
文字やグラフィック、独特な色を再現する、後付けの技法です。

TILE+(タイルプラス)
TILE+(タイルプラス)
表面の意図的につくられた絶妙な揺らぎ感が、優しさや柔らかさを演出する定番の100角タイル。テーパー面状や他素材との組み合せが可能なレリーフタイプと合せてお楽しみ頂けます。

磨き

TRAVERTINO(トラベルチーノ)
TRAVERTINO(トラベルチーノ)
イタリアで採掘される最も有名な2種類のトラベルチーノ。 時代を超越した美しさを持つ象徴的な素材です。 ラツィオ州で採石されたシルバーグレー。白から若干の青みがかったクリーム色の明るい色合いにやや濃い色調の流れ模様が、エレガントで洗練された印象を与えます。

無釉・施釉どちらにも用いられますが、現在は施釉磨きが主流。
釉薬の進化により、大理石デザインの上質な柄感、光沢感に加え、
時間の経過を感じさせる奥行きある表情の再現も可能にしました。

いかがでしたか?
今回は、設計者やデザイナーの皆さんに知っておいていただきたい
タイルの基本知識【材質編】としてお届けいたしました。
ご不明な点や「タイルのこれについて知りたい!」というご要望がありましたら、
ぜひ営業担当者またはお問合せフォームまでお寄せください!

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