建物のコスパを高める外装タイル張りのポイント3つ 2026. 06. 25

建物の外装、特にファサードは建築物の「顔」となります。その外装面の耐久性と美観を長期間維持することはとても重要であり、
耐久性と美観性に優れるセラミックタイルを用いることは、その視点でとても有効な仕上げ材料です。
そこで今回は、建物のコストパフォーマンスを高めるタイル張りのポイント3つをご紹介します。

【目次】

ポイント1 タイル目地の意匠価値を高める

◆従来のモルタル施工における意匠制約と目地基準

外装タイルは、やきものの持つ味わいはもちろんのこと、その凹凸感や陰影感の表現は、タイルならではのものと言えます。
さらに、それを助長するのが目地意匠で、目地の太さを変える、深さを変える、質感や色を変える、形状を変えるなど様々なバリエーションを選べます。
その陰影感を目地とともに表現するためには、タイルの適切な施工方法を採用することが重要です。

外装タイルの施工は長年、モルタルを張り付け材として用いており、熟練職人による安価な工法として定着してきました。
現在も多く採用されている工法ですが、モルタルによるタイル施工では意匠表現の制約条件があり、伝統的・画一的といった意匠になる懸念もあります。

しかし、タイル壁面の陰影感を強調したいがために、目地底を深くする「深目地」としたり、
壁面の連続性を持たせるために目地材が入らないほど目地を細くする「細目地・ねむり目地」とすることは、
前述の通りタイル剥離の懸念があるため、従来のモルタル施工では推奨できません
モルタル施工では、目地深さはタイル厚の半分以下、目地幅は3~10mmが一般的です。

外装タイル張り断面図

外装タイル張り断面図

深目地の場合

ねむり目地の場合

◆タイルが接着する仕組みと不具合メカニズムについて

まず、タイルはコンクリートやモルタルとはそのままでは接着しづらいため、
タイル裏面の裏足(アリ足)部分と、躯体表面に塗布された張付けモルタルによって、嵌合されて保持されています。
建物壁面は、日射などによる熱伸縮の影響、躯体コンクリート乾燥収縮(コンクリートは長年にわたり乾燥に伴う収縮をしている)もあるため、
その伸縮差によるズレ変形で剥離が発生することより、裏足部嵌合が必須となります。
また、目地部に目地材を充填することで、タイルを単体ではなく一体面として保持することも、大変重要となります。

外的要因に起因するタイルの不具合メカニズムとして、日射による熱伸縮の影響と、躯体に発生したひび割れに起因するタイル面のひび割れをご紹介します。

熱伸縮の影響

熱伸縮の影響

躯体に起因するひび割れ

躯体に起因するひび割れ

また、目地に起因する不具合の具体的事例を以下に紹介します。

タイル裏足からの剥離
(深目地施工が原因)

タイル裏足からの剥離

タイル単体の剥離
(深目地+施工不良が原因)

タイル単体の剥離

タイル面のひび割れ
(RC躯体の構造ひび割れに起因)

タイル面のひび割れ

ポイント2 弾性施着剤の採用で意匠自由度を高める

近年では、モルタルに代わる新たな張り付け材として、外装タイル用弾性接着剤が普及され始めました。
弾性接着剤の特長としては、モルタルと異なり、それ自身に弾性を持つため、日射による熱伸縮を吸収して剥離抑制につなげるとともに、
コンクリート躯体のひび割れに伴うタイル割れ(構造クラック)の低減にも有効です。

外装タイル用弾性接着剤「ワンパックボーイR-V2スーパー」(LIXIL製)
外装タイル用弾性接着剤「ワンパックボーイR-V2スーパー」(LIXIL製)

弾性接着剤は、嵌合ではなくその接着性によってタイルを保持するため、タイルの裏足は必要なく、目地詰めも必要ありません。
ですので、前述の「深目地」や「ねむり目地」仕様も可能であり、また凹凸・陰影感のあるタイル、厚さの異なるタイルの張り合わせなど、
従来では目地詰めに手間を要するタイルも容易に採用することができ、タイル張り壁面の意匠表現自由度を大幅に高めました。

RIBLADE(リブレイド)
目地詰め不要のデザインで、深目地が際立つリブレイド
RIBLADE(リブレイド)の商品詳細を見る
画像提供:LIXIL
細目地及び目地詰め不要のデザインで、シームレスな印象が際立つボーダータイル
画像提供:LIXIL

また、外壁タイル張り仕上げの潮流として、大型タイル、薄型セラミックパネルも採用されつつあります。
これらの施工ついては、モルタル張りは不可で弾性接着剤張りのみの仕様となります。
また、施工高さによっては躯体緊結用金物を用いた「ノリ釘併用」の施工を採用する必要があります。

ノリ釘併用タイル(表面)
ノリ釘併用タイル(表面)
ノリ釘併用タイル(裏面)
ノリ釘併用タイル(裏面)

ポイント3 外壁点検に係わるコストを低減

①点検費用低減

外壁タイル張り仕様の特殊建築物は、建築基準法第12条第1項の規定により、
2~3年毎の「目視及び部分打診調査」と10年毎の「全面打診調査」等を行い報告することが義務付けられています。
しかし、弾性接着剤張りについては、「引張接着試験により確認する方法によっても差し支えない」との緩和措置があり、
この点検業務による発生コストを軽減することに有効です。
さらに、前述の躯体緊結用金物を併用した「落下防止措置付き外壁タイル」では、「全面打診検査」等は適用除外とされており、
これらの採用はライフサイクルコスト低減に極めて有効です。

落下防止措置付きタイルの例1(巻きバネ)
落下防止措置付きタイルの例1(巻きバネ)
下防止措置付きタイルの例2(リベット)
落下防止措置付きタイルの例2(リベット)

②補修費用低減

従来のモルタル張りは、適切な施工状況であれば問題ないのですが、環境要因や施工誤差要因などで稀に部分的に「浮き」が発生する場合があります。
また、コンクリート等の乾燥収縮に起因する「ひび割れ」が発生する場合もあります。
これに対し、弾性接着剤張りはその弾性性能により不具合の発生を抑制します。

外装タイルは建物の外観を永く美しく保つとともに、建物の劣化を防ぐ鎧(よろい)としての効果もあり、大変優れた外装仕上げ材料です。
建物コンセプトに合わせたタイルの選定と、適切な施工材料や工法を採用することで、建物資産価値の向上に大きく貢献できます。


今回は「コストパフォーマンスを高める外装タイル施工のポイント」についてご紹介しました。
記事の中でご不明な点や、外装タイルに関するお悩み・ご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問合せフォームまでご連絡ください。

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