【設計者向け】駐車場にタイルは使える?車両対応に適切なタイル選定と施工方法ガイド 2026. 09. 17
「駐車場や車寄せにタイルを使いたいけど、割れが心配で踏み切れない…」
「どのようなタイルを選べば、車両が乗り入れる場所でも大丈夫なの?」
など、悩まれている設計の方も多いと思います。
車両乗り入れ部にタイルを採用する場合、「最適な下地強度を確保」することと、「タイル裏面と下地の空隙を無くす」ことが重要です。
今回の記事では、車両乗り入れ床面において、割れリスクを最小限にする2つのポイントを解説するとともに、
適切なタイル・施工方法の組み合わせが一目で分かる内容となっております。
おすすめの床タイルもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
【目次】
タイルはなぜ割れる?(メカニズムと原因)
2つの主な要因
車両自重(1.5〜2.5t)がタイヤ設置面に集中するだけでなく、ハンドル操作(据え切り)時に強いねじれ荷重が発生し、タイル表面へ直接負荷がかかります。
タイルが単体で割れる現象は、実はタイル自体の薄さではなく、以下の2つが主な要因となります。
- 下地の強度不足
- タイル裏面と下地の空隙(空洞)

たわみが割れを引き起こす
タイル裏面と下地の空隙(空洞)が原因の割れについては、「瓦割り」をイメージすると分かりやすいかもしれません。
瓦割りがきれいに割れるのは、瓦が平らではなく波打った形状をしているため、重ねた瓦と瓦の間に「上下の隙間」ができるからです。
上から衝撃が加わると、その隙間のせいで瓦が下へ「たわみ」、一気にバキバキと割れてしまいます。

もし、瓦同士の隙間にセメントをギッシリ詰めて「隙間のない巨大なコンクリートブロック」にしてしまえば、強く叩いても瓦がたわむことはなく割れません。
タイルもこれと全く同じ原理です。タイルの圧縮強度は100N/mm²以上と非常に高く、瓦同様に非常に硬い素材ですが、
裏面のモルタルに空隙(隙間)があると、車重がかかった瞬間にタイルが下へたわみ、割れてしまいます。
割れリスクを最小限にする「2つのポイント」
ポイント1:下地の強度
圧縮強度が高いタイルを床面に採用しても、肝心の下地の圧縮強度が車重に対応していないと意味がありません。
まずは、どのような車両が乗り入れるかを想定してみてください。
(例)普通乗用車・マイクロバス・救急車・消防車・ゴミ収集車・大型バス・はしご付き消防車 など
どのような車両が乗り入れるか想定した後は、どのような下地を構成するか考えます。
床タイルを施工する場合の下地には、主にセメントモルタルが使用されます。
セメントモルタルの中でも貧調合のバサバサモルタルから、圧縮強度が高い、合成高分子エマルジョン混入のポリマーセメントモルタルまで選択肢があります。
これらの圧縮強度、曲げ強度を以下に示します。最適な下地の設計の参考にしてください。
モルタルの圧縮強度・曲げ強度
| 商品名 | 圧縮強度(N/mm2) | 曲げ強度(N/mm2) |
|---|---|---|
| バサバサモルタル C:S:W=1:4:0.4 |
20~25 | 3~4 |
| セメントモルタル C:S:W=1:2:0.5 |
30~40 | 4~5 |
| ポリマーセメントモルタル C:S:W:P=1:2:0.5:0.1 |
30~40 | 6~8 |
張付け用セメントモルタルの物性値
| 性能項目 | 試験項目 | 試験結果 | 規定 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| タフⅠ | HFモルタル | ||||
| 力学特性 | 曲げ強さ(N/mm2) | 9.6 | 8.2 | 8.0以上 | |
| 長さ変化(%) | -0.09 | -0.13 | 0.00~0.20 | ||
| 圧縮強さ(N/mm2) | 59 | 50 | 30以上 | ||
| 標準時の付着強さ(N/mm2) | 1.29 | 1.92 | 0.6以上 | ||
| 耐久性 | 付着強さ(N/mm2) | 温冷繰り返し 30サイクル後 |
1.53 下地界面破断なし |
2.03 下地界面破断なし |
0.6以上 かつ下地との界面破断が無いこと |
| 浮き | 温冷繰り返し 30サイクル後 |
浮きなし | 浮きなし | 浮きが無いこと | |
表1 日本建築学会 JASS19 M-101「大型床タイル張付け用セメントモルタルの品質規準」
※上記データは試験値であり、保証値ではありません
ポイント2:最適なタイルと施工方法を採用する
強度のある下地を用意しても、タイル裏面と下地の間に空隙(空洞)があると意味がありません。
一般的にタイルサイズが大きいほど空隙(空洞)ができやすいと言われています。
以下の表を参考に、空隙(空洞)ができにくい最適な施工方法とタイルの組み合わせをご検討ください。
人や自転車以外に車両が徐行程度の速度で通過可能性のある場所
| 仕上げ材 | 施工方法 | 適用タイル |
|---|---|---|
| 床タイル | ①モザイクタイル張り | モザイクタイル(100mm角未満) |
| ②圧着張り | 300mm角以下のタイル 300mm角超~600mm角以下かつ20mm厚以上のタイル |
|
| ③改良圧着張り | 200mm角超~300mm角以下のタイル 300mm角超~600mm角以下かつ20mm厚以上のタイル |
|
| ④セメントペースト張り | 300mm角以上~600mm角以下かつ20mm厚以上のタイル | |
| ⑤バックアンカーAF工法 | 裏あしのある300mm角以上のタイル |
※バックアンカーAF工法は、専用の施工マニュアルをご覧ください。
《荷重区分に応じたタイル選定について》
本マニュアルに基づき正しく施工した場合、タイルは車両重量に対し十分な圧縮強度を備えております。
ただし、荷重区分(設計自動車荷重)の高い車両の乗り入れなど高い耐荷重性が想定される場合には、強度の高いタイルの選定をご検討ください。
詳しくは弊社営業担当までお問合せください。(参考:道路橋示方書に定める設計自動車荷重)
施工方法の紹介
大判タイルを施工する場合によく採用される施工法を紹介します。
詳しい内容を確認されたい場合は、こちらの資料をご参照ください。【参照:屋内床・屋外床タイル 設計・施工マニュアル|株式会社LIXIL】
圧着張り(モルタル下地)…張り代2~5mm
下地に張付けモルタルを塗り付けて直ちに張り付ける工法です。

改良圧着張り…張り代4~7mm
下地に張付けモルタルを塗り付け、モルタルが固まらないうちにタイル裏面全体にも塗り付けて張り付ける方法です。
この工法は200mm角を超えるタイルに適した施工法です。

セメントペースト張り…張り代1~2mm
下地にバサバサモルタルを敷き、敷きモルタルの硬化前にセメントペーストを流しながらタイルを叩き押えて張り付ける方法です。
この方法は、厚さが14mm以上かつ300mm角以上のタイルに適した工法です。

車両乗り入れ可能なおすすめタイル
裏足のあるタイル
タイル裏面に凹凸形状(裏足)がある製品は、張り付け材(モルタル)がかみ合い、物理的なアンカー効果を発揮し、空隙(空洞)を最小限にします。
BASAMO G・G20(バサーモG・G20)
国産ならではの安全性とフレキシビリティ・割れ・滑りに強い!
汚れが目立ちにくい、BASAMO Gシリーズ。夜間短期改修にもおすすめです。
厚み2倍のタイル
材料力学(JIS A 5208の曲げ試験規格)に基づきタイルの曲げ強度は厚みの2乗で強くなるため、厚み2倍で曲げ強度は4倍になると想定されます。
そのため、車が乗り入れする場所には20mm厚タイルが最適です。
また、空隙の施工リスクをより小さくすることを考慮し、600角(20mm厚)を半分のサイズとなる300×600角にカットし、使用されることもあるようです。

L STONE20(エル ストーン20) および V STONE20(ブイ ストーン20) には、段差・階段施工に特化した「STEP面」を用意しております。
長手方向の側面(片側)まで表面と同じ柄が連続しており、側面(小口)が見える場所でも素地が露出せず、ディテールまで美しい仕上がりが可能です。

今回は「車両乗り入れ部へタイルを採用する際の選定ポイント・施工方法」についてご紹介しました。
記事の中でご不明な点や、タイルに関するお悩み・ご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問合せフォームまでご連絡ください。








